世界遺産の話題は日本でも毎年のように取り上げられます。
世界遺産に登録されることは、その地元の人々にとっての誇りでもあります。
また観光地としての注目度も大きくアップします。

去年2014年には、世界の絹産業の革新と大衆化に大きな役割を果たしたとして
「富岡製糸場と絹産業遺産群」
が世界遺産に登録されました。

tomioka

この登録で観光客が激増しました。

富岡製糸場の年間入場者数を見てみると、
2010年 21万人
2011年 23万人
2012年 29万人
2013年 31万人
2014年 134万人
です。

世界遺産登録後に4倍に増えています。

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世界遺産登録で観光客増

そして、今年2015年7月に世界遺産に登録されて観光客増に期待がかかるのが
「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」
です。
軍艦島をはじめとした23の資産から成ります。

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その一つで静岡県伊豆の国市にある
「韮山反射炉」
はすでに世界遺産の恩恵を受けているようです。

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ペリー率いる黒船が開国をせまり1853年に来航しました。
それを迎え撃つための大砲を作ったのが、韮山反射炉です。

観光客数は去年までは1日100〜200人だったのが、今年2015年7月以降は1日1000〜2000人にまで増えたそうです。

しかし世界遺産登録はいいことばかりではありません。
世界遺産登録により、そこに住む住民は世界遺産に少なからず縛られてしまう場合もあります。

世界遺産を取り消された街「ドレスデン」

実は世界遺産を取り消された街があります。
そこは、ドイツのドレスデンです。

首都ベルリンから南に200kmのところにある街です。

中世の趣を伝える美しい街並みと、街の中心を流れるエルベ川の景色の調和が世界遺産に登録されました。

ドレスデンのそばには有名な街としてマイセンがあります。
また、高級磁器ブランドのマイセンは日本でもお馴染みですね。
18世紀にヨーロッパで初めて硬質磁器を生んだのがマイセンなのですが、エルベ川はその輸送経路として繁栄の大きな役割を担っていました。

橋の建設でドレスデンの世界遺産登録は取り消された

そんなドレスデンですが、たった一本の橋の建設で世界遺産は取り消されました。
ヴァルトシュロッセン橋という名で全長が635mあります。

ユネスコは景観の変化を世界遺産登録後は認めていません。
一度登録したら、その景観を守らなければいけないのです。

ドレスデンはエルベ川を渡るヴァルトシュロッセン橋がエルベ川の景観を損ねたとして、2009年に世界遺産登録を抹消されてしまいました。

世界遺産よりも住民の暮らしを優先

しかし、この世界遺産登録の抹消は悲しいことではありません。
交通の便として、エルベ川のその場所に橋を渡すことは住民にとっては必要なことでした。

実際に住民投票で6割以上の人々が橋の建設に賛成しています。
世界遺産登録の抹消を覚悟で、住民は橋の建設に賛成をしました。
住民が世界遺産よりも自らの生活を選んだわけですね。

日本の世界遺産でも景観維持は大きな問題

この問題については日本においても全く同じことが言えます。

shirakawa

1995年に世界文化遺産に登録された
「白川郷・五箇山の合掌造り集落」
では、お土産店の販促ポスターなどは自粛をしています。
景観を損ねることが理由です。

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2004年に世界文化遺産に登録された
「紀伊山地の零場と参詣道」(熊野古道など)
では自分の土地の木を切るのに、市の許可が必要な場所があります。
これも景観を損ねるためですね。
世界遺産登録前には当たり前に出来ていたことが、出来なくなることもあるのです。

世界遺産登録までの苦労は言わずもがな、登録後も地元の皆さんは苦労されその素晴らしい遺産を守っているのですね。

世界遺産を守ってくれていることに私たちは感謝しつつ、地元の人たちが景観を変える必要があると感じたら私たちはそれを受け入れるべきなのかもしれません。

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