イタリアでは、19世紀末からヴェリズモ・オペラ(verismo opera)というものが作曲され始めました。
「ヴェリズモ」は「現実主義、写実主義」などと訳されます。
題材がこれまでのオペラのような王様などを対象にしたものではなく、もっと身近な日常を描くようになりました。身近な日常と言っても、平凡な日々というより浮気や不倫、暴力などドロドロとした人間関係です。

このヴェリズモ・オペラは現在でも上演されることが多く、その中でもレオンカヴァッロ作曲の「道化師」やマスカーニ作曲の「カヴァレリア・ルスティカーナ」は日本でも良く上演されます。

ここでは、「道化師」のあらーいあらすじをご紹介します。

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道化師の表と裏の世界

旅する道化一座のお話。

プロローグ

一座の役者トニオが一人で舞台上に現れて「プロローグ(前口上)」を話します。「道化も一人の人間です。見た目に惑わされることなく真実を見てください。」

第1幕

村の人々は道化一座が来たことを喜び騒いでいます。その中には一座の座長のカニオ、カニオの妻で女優のネッダの姿もあります。

一人になったネッダは「空を自由に飛ぶ鳥のように私も飛んで行きたい」と願望を歌います。その歌声をこっそり聴いていたトニオはネッダに告白をしようとします。しかし、ネッダがそんなトニオを馬鹿にして話を聞こうとしないので、トニオは怒って立ち去ります。

次にネッダの前に現れるのはネッダと密かに愛し合っている村人のシルヴィオです。トニオはその二人の姿を発見し怒りが収まらず、カニオを連れてきます。

ネッダとシルヴィオは一座から逃げることを考え、ネッダは「今夜から永遠に私はあなたのものよ」と告げます。その言葉を隠れて聞いていたカニオは憤慨し、二人に迫ろうとしますがシルヴィオは逃げてしまいました。その後、ネッダに逃げた男の名前を問いただしますがネッダは答えようとしません。

一座の役者のペッペは「もう開演の時間になるから」と、言い争いを続ける二人を引き離します。カニオは「道化師よ、衣装をつけろ、化粧をしろ」と自分に言い聞かせながら舞台の用意をします。

第2幕

まもなく道化たちの劇が開演します。お客たちが静かになると劇が始まり、コロンビーナ(ネッダ)が登場します。コロンビーナが「今日は夫(カニオ)の帰りが遅いのよね」と独り言を言っていると、外からアレッキーノ(ペッペ)の優しい歌声が聴こえてきます。コロンビーナとアレッキーノは浮気をしているのです。

そこへ召使いのタッデーオ(トニオ)がやってきます。コロンビーナとアレッキーノはタッデーオに見張りをさせて食事をすることにします。そこへ夫が帰ってきてしまいます!!コロンビーナは「今夜から永遠に私はあなたのものよ」と…

カニオは芝居を続けようとしますが、怒りがこみ上げてきます。そのうち芝居と現実との境がなくなり、本当にネッダの浮気を問いただそうとします。お客はそんなカニオを見て「真に迫る演技だ。」と称賛します。ネッダはなんとか芝居の筋に戻そうとしますが、もう無理です。

カニオはテーブルの上にあったナイフを手に取り「名前を言え」と迫りますが、ネッダは一向に言いません。ついにはカニオはネッダを刺してしまいます。ネッダは苦しみながら「助けて、シルヴィオ…」とつぶやき、シルヴィオがネッダに駆け寄るとカニオはシルヴィオも刺してしまいます。

そして「喜劇は終わった」と叫んでお話は終わります。

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