ガエターノ・ドニゼッティはたくさんのオペラを作曲しました。
その内容は楽しいもの(オペラ・ブッファ)も真面目なもの(オペラ・セリア)もあります。

ここでは、楽しいオペラ・ブッファの中から代表作ともいえる「愛の妙薬(L'elisir d'amore)」のあらーいあらすじをご紹介します。

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魔法の薬の力で叶う(?)恋物語

純朴な青年ネモリーノは村一番の美女アディーナのことが大好きです。
でも、アディーナは相手にしてくれません。

ネモリーノはどうしてもアディーナに振り向いてほしくて、薬売りのドゥルカマーラから「惚れ薬」を買います。

実はこのドゥルカマーラは偽物の薬売り。
なので、当然その「惚れ薬」も偽物でただのワインです。

飲んだ翌日には好きな人から愛されるという「惚れ薬」をネモリーノはすぐに飲み干します。
もちろんネモリーノは酔っぱらいます。

いつもと違う様子のネモリーノを見てアディーナはイライラしてきます。
ついには今日、軍曹のベルコーレと結婚すると言い出しました。

そうなると薬の効き目が翌日じゃ遅すぎる!!
ネモリーノはお金がないので、もっと効き目の早い薬買えません。

ネモリーノはお金を手に入れる為、軍隊に入る決心をしました。
そして、その手付金で高い薬を買うのです。

ちょうどその頃、村では娘達が集まって何かコソコソ話しています。
なんと「ネモリーノの伯父さんが亡くなって、その遺産がネモリーノに入ることになった」とのこと。
娘達は今までネモリーノに興味もなかったのに、手を返したようにアピールし始めます。

すると、ネモリーノは「これが薬の効き目か!」と有頂天。
ネモリーノは伯父さんが亡くなったことをまだ知りません。

アディーナは急にネモリーノがモテ出したことに驚き、また少し切なさも感じています。
しかも、ネモリーノがいつ死ぬかも分からない軍隊に入ってまで、自分に愛されることを望んだ。と言うことを知って心を動かされます。

そして、ネモリーノの恋は成就するのでした。
これもすべて愛の妙薬の力!!…なのか??

オペラ・ブッファとは

冒頭に少し書きましたが、もう少しオペラ・ブッファについて書きましょう。

オペラ・ブッファ(opera buffa)はイタリア語です。
「オペラ」は「歌劇」、「ブッファ」は「からかうこと、嘲笑」という意味です。
それに対するのはオペラ・セリア(opera seria)、「セリア」は「真面目な」という意味です。

簡単に言えば、オペラ・セリアは貴族が観る高尚なもので、オペラ・ブッファは大衆的でもっと身近なものを取り上げたものです。
その為、オペラ・ブッファには使用人などの一般市民により身近なキャラクターが出てきます。
この「愛の妙薬」で言ったら素朴な青年のネモリーノがそのキャラクターでしょうか。

人知れぬ涙

このオペラで一番の聞かせどころと言ったらネモリーノの歌う「人知れぬ涙(Una furtiva lagrima)」です。
楽しいオペラの中でこの曲の切ないメロディーがいっそう私たちの心を惹きつけます。

女の子たちにモテモテになったネモリーノを見て、アディーナは涙を流します。
その姿を見たネモリーノはアディーナの想いを知り歌います。

彼女は涙を流していた。
そうだ!彼女は僕のことを愛してるんだ!
一瞬でも彼女の想いを感じることができたんだ。
あぁ。もう僕は死んでもいい!

って感じの曲です。

歌詞がわかれば
楽しさは何倍にも増しますので、
より深く楽しみたい方は
イタリア語の勉強もオススメです。

オペラDVDやオペラCDなどではもちろん、
機会があれば是非生で一度愛の妙薬を
楽しんでみて下さい!

美しい舞台ももちろんですが、愛の妙薬は聴きごたえのある重唱がたくさんあります。
バトルとパヴァロッティが主役をつとめているこのDVDがオススメです。
パヴァロッティの歌う人知れぬ涙は、聴いているこちらが涙してしまいます!

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