今回は音楽にあまり馴染みのない方にも親しみの持てるような音楽のこぼれ話をしたいと思います。
ベートーベンについて話をします。
ベートーベンは19世紀はじめから活躍したドイツの作曲家です。
彼は、晩年は聴覚を失いましたが、多くの傑作を残しました。
また、楽聖(がくせい)とも呼ばれています。
ベートーベンは長いヨーロッパのクラシック音楽の歴史の中で、最も重要な音楽家の1人と言えます。
この誰もが知っているベートーベンのこぼれ話を今からしたいと思います。
皆さんの周りの方にも是非話してみてください。
ベートーベンはフリーで活躍した初めての音楽家
それまでの時代の作曲家は、もじゃもじゃとしたカツラを皆つけていました。
よく見る肖像画の髪型は、みなさん同じような髪型ですね。
ベートーベンは肖像画で初めてカツラを被っていない作曲家と言えます。
これにはしっかりとした意味があります。
当時の音楽家は宮廷や教会や貴族に仕えていました。
かつらは、宮廷などに仕えているから被っていたわけです。
しかし、ベートーベンは初めて音楽家としてフリーランスで仕事をしました。
だからベートーベンはカツラを被っていないのです。
また音楽家は、宮廷では裏口からしか入れないのがこれまでのしきたりでした。
音楽家は正面から入ることを許されていなかったのです。
しかし、ベートーベンは正面から堂々と入りました。
ベートーベンが音楽家の地位を一気に高めたのです。
CDの最大収録時間74分は第九から
CDの最大収録時間は74分です。
この74分もベートーベンから来ていると言われています。
これは有名な話ですので、知っている方も多いと思います。
ベートーベンの交響曲第九番、通称「第九」の長さから74分の長さが決まったと言われています。
20世紀を代表する名指揮者であるカラヤンが第九を基準にしようと提案したということも、一説では言われています。
このベートーベンは第九の最後の交響曲でもあります。
第九を作ると死ぬ
数々の音楽家が恐れた迷信に
「第九を作ると死ぬ」
というものがあります。
その裏には2人の偉大な音楽家の死が関係しています。
それは、シューベルトもドボルザークです。
魔王で知られる「歌曲の王」であるシューベルトは、1828年に31歳の若さで亡くなりました。
「新世界より」で知られるチェコの巨匠のドボルザークは、1904年に62歳で亡くなりました。
時代も国も異なる2人の音楽家ですが、彼らに共通するものは「彼らの遺作が交響曲第九番」だったことです。
つまり第九が遺作なわけです。
オーストラリアのブルックナー、イギリスのヴォーン・ウィリアムズも第九を作曲した後に亡くなってしまってします。
とても気味の悪い話ですね。
他にも有名なエピソードとしてマーラーのエピソードもあります。
マーラーは19世紀末にウィーンで活躍した作曲家です。
マーラーは自分が第九を書くと死んでしまうという妄想にとらわれていました。
そして第九がなかなか書けませんでした。
マーラーは九番目の交響曲を結局は作るのですが、第九番とつけずに「大地の歌」という特別なタイトルをつけて第九を回避しました。
その後にマーラーは大地の歌の後に交響曲第九番を結局は作ってしまいます。
そして、十番を作っている途中に亡くなっています。
マーラーも第九番が遺作となってしまったのです。
第九が呪われていると言われるのにも納得がいくエピソードですね。
第九が年末に演奏される理由
日本で第九が初めて演奏されたのは、1918年6月1日です。
第一次世界大戦で捕虜となったドイツ人たちが徳島での捕虜収容所でおこなった演奏が最初と言われています。
しかし、現在のように第九が年末に頻繁に演奏されるようになったのはその30年後の第二次世界大戦後のことです。
そこには悲しい理由がありました。
第二次世界大戦の戦局悪化に伴い20歳以上の学生は戦場に送られました。
学徒出陣です。
その出兵直前の1943年12月に、東京音楽学校(現在の東京芸術大学)で卒業式がありました。
出兵のため3月から12月へ繰り上げとなった卒業式です。
その時、器楽科も声楽家が合同で演奏するために選ばれた曲が第九だったのです。
その後戦争は終わり、生きて帰ってきた学徒たちで1947年12月30日に再び第九を演奏しました。
これは学徒出陣で命を落とした学生へのレクイエムだったと言われています。
これが年末に第九が頻繁に演奏される理由の一つだと言われています。
これはあくまで一説です。
もう一つ現実的な側面の説として、日本のオーケストラが資金調達の手段として第九を年末に演奏するということです。
第九は合唱でたくさんの人を必要とします。
アマチュアの合唱団と合同でコンサートをすれば、合唱団の家族や知人にチケットが売れ資金調達ができるというわけです。
ベートーベンだけでも面白い話がたくさんありますよね。
こぼれ話として、皆さんも周りの方に話してみてください!